◆横浜プロテスタント史研究会編
◆ 有隣堂
◆ 216頁/本体;1,050円
■来年は横浜開港150周年、そしてヘボン、S・R・ブラウンなどの宣教師が横浜に来て150年になる。横浜プロテスタント史研究会では、開港150年という記念すべき時を迎えるにあたり、日頃の研究成果を書物を通して市民に訴えたいと考えて、横浜が開港されてやってきた宣教師の足跡をまとめてみた。
本書では11人のアメリカの宣教師を取り上げている。彼等は聖書を翻訳し、和英辞書を編纂し、教会を建て、英語を教え、また学校を創立し、西洋文化の伝達者としてさまざまな文化を日本にもたらし、日本人に多大な影響を及ぼした。宣教医ヘボンは和英語林集成を作成し、横浜指路教会を設立、S・R・ブラウンはヘボン等と共同訳の聖書を翻訳し、J・H・バラは日本人教会としては、日本で一番古い教会である海岸教会を設立し、N・ブランはバプテスト教会を設立し、また日本で最初の新約聖書を出版し、A・A・ベンネットは今日の関東学院の前身となる神学校を設立した。このように男性宣教師たちは聖書の翻訳と教会の設立に勢力を注いだのに対し、女性宣教師たちは女子教育に大きな貢献をした。M・E・キダーはフェリス女学院を創立、M・P・プライン、L・H・ピアソン、L・N・クロスビーの3人は現在の横浜共立学園を設立、またC・A・カンヴァースは二代目校長として捜真学院の基礎を築き、O・ハジスも今日の横浜英和学院の基礎固めをなした。
こうして宣教師たちは日本伝道に邁進して帰国する者、長く滞在し横浜の土となって横浜外国人墓地に眠る者もいる。本書は横浜プロテスタント史研究会のそれぞれの専門家により最近の研究を踏まえて叙述し、読み応えのある本となっている。値段も手ごろなうえ、どなたでも気軽に手にとって読める本なので、是非読んでいただきたい。(この本の編纂人 岡部一興より)
(2008年11月、長老 岡部一興)