詩編を祈る

  • W・ブルッゲマン著/吉村和雄訳 ◆ 日本キリスト教団出版局
教会の本棚

◆ W・ブルッゲマン著/吉村和雄訳
◆ 日本キリスト教団出版局

■ 詩編は一編から一五〇編までその一つ一つがすべて祈りであると言えます。本書は、そのような詩編の祈りと向き合っています。詩編の祈りは客観的で冷静であるのではなく、著者の言葉を借りれば「情熱的で対話的」なものです。また著者は詩編が祈られている状況を「順境」、「逆境」、「新境地」の三つに分けています。そして詩編の大部分の祈りは「逆境」と「新境地」におけるものであり、そのような状況で私たちの人生の経験を「詩編に触れさせる」ことについて語られています。例えば「逆境」における祈りにおいて、私たちは不快な言葉を見いだすことがあります。しかし著者はそのような言葉から目をそらさず向き合っています。私たちの人生における祈りは、きれいごとばかりではありません。他人に聞かせられないような祈りを、私たちは詩編の祈りと共に祈ることができるのです。
 本書は、小さな本にも関わらず、ユダヤ教との相互対話についての言及もあり、詩編の祈りに触れる入口となるのではないかと思います。

(2019年8月、伝道師 川嶋章弘)

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