◆ 井ノ川勝著
◆ 日本キリスト教団出版局
■ 本書は、日本キリスト教団出版局から出版されている「『読もう』シリーズ」の一冊である(これまでも読書室で『コヘレトの言葉を読もう』、『ルカによる福音書を読もう』を紹介した)。著者は本書をペトロの手紙一、二の「御言葉の黙想の手引きをする『黙想の書』」、「御言葉を共同で黙想する…『共同黙想の手引書』」であると述べている。具体的には、ローマ帝国の迫害下にあって、内外の危機に直面していた教会と、今、コロナ禍で苦悩する教会、あるいは異教社会に生きる日本の教会を重ね合わせて、ペトロの手紙の御言葉に聞き、「生活に根ざした信仰の言葉」として思い巡らし、黙想している。本書で取り上げられているように、ペトロの手紙は、危機の時代に生き、異教社会の中に散らされ、仮住まいをしている私たちを生かし、導き、支える御言葉で溢れている。困難な時代にあって、希望と勇気を与えられる一冊であり、一読をお勧めする。また本書と共に、ペトロの手紙の御言葉を共同で味わっていければと願う。
(2022年10月30日、副牧師 川嶋章弘)