◆本城仰太著
◆教文館
◆私たちは毎週の礼拝の中で「使徒信条」を告白している。しかしこの「使徒信条」が歴史的にどのように成立したかは知らないのではないか。私たちの勉強不足のためというより、今まで使徒信条の歴史について日本語で読める本がほとんどなかったためである。本書は、コンパクトながら、使徒信条の歴史を扱った画期的な本と言える。著者は、日本における「使徒信条成立史研究は、外国と比べて少なくとも50年遅れて」(4頁)いるという認識に立って執筆している。単純に「古ローマ信条」から「使徒信条」へ発展したとはもはや考えられなくなった、20世紀後半の研究成果を踏まえつつ、使徒信条がどのように成立したかを分かりやすく説明している。また、宗教改革期に、使徒信条がどのように受容されたかについても扱っている。最終章では、日本における使徒信条受容の問題点として、日本では使徒信条を「基本信条」ではなく「簡易信条」と呼んできたことが指摘されている。私たちはこの指摘をしっかりと受けとめる必要があるだろう。
(2023年4月30日 副牧師 川嶋章弘)