新約聖書の中心的使信

  • J・エレミアス著、川村輝典訳 ◆ 新教出版社 ◆ 新書版、228頁/本体;1000円
教会の本棚

◆ J・エレミアス著、川村輝典訳
◆ 新教出版社
◆ 新書版、228頁/本体;1000円

■ 今回は新書サイズの求めやすい本を紹介します。しかし、新書とはいえ、その内容は新約聖書を考える上で大切なことが記されており、決して軽んじることはできない内容です。著者のエレミヤスはドイツの新約学者で、新約聖書神学で一時代を築いたブルトマン後の研究者です。ブルトマンが史的イエスに遡ることができず、福音書のイエスを対象とすべきと主張した後、ブルトマンの立場を批判し、史的イエスとその使信に帰るべきと主張した人です。その主張に基づき、本書が記されています。
 目次を見ると分かりますが、史的イエスの問題に始まり、主の祈り、山上の説教、聖書の使信について、一つ一つ項目について記されています。基本的なことが大方あげられているため、辞書的なものとしても用いることができるかもしれません。冒頭の史的イエスの問題は、少し難しいのですが、新約研究の一つの流れを記していまして、史的イエスの問題について知りたい方には適していると思います。その他の項目も著者の豊かな見識の中で記されており、大変興味深いものです。聖書に記されている主イエスに関わる多くのことが、実際に私たちと同じ地上の生涯において話され、行われたこと、そして一つ一つがいかに私たちの救いに関わるか、そのことが様々な角度から記されています。

(2002年12月15日、壮年会だより・第119号”ほん”、伝道師 清野久貴)

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