パウロの生涯と神学

  • 朴憲郁著 ◆ 教文館
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◆ 朴憲郁著
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■ 『パウロの生涯と神学』初版は二〇〇三年に出版された。増補改訂版の序文によれば、初版は発行の数年後に品切れになったとのことである。神学生時代、品切れで手に入らず、古書を探し求めたことが思い出される。初版から一八年を経て、昨年この増補改訂版が出版された。本書は二部構成であり、第一部ではパウロの生涯がその生い立ちから死に至るまで非常に丁寧に辿られている。パウロ自身による書簡を第一の手がかりとし、さらには使徒言行録なども比較参照しつつ、その生涯が記されている。第二部では、パウロの生涯を踏まえた上で、その神学がテーマ別にまとめられている。特に3(4)「律法」は、増補改訂版で新たに加えられた部分であり、近年のパウロ研究の展開が反映されていて興味深い。また、5(2)「『キリストの体』としての教会」という項目があり、二〇二二年度の年間主題を深めることもできるのではないか。この増補改訂版では、文献の注が付されたため、さらなる学びにもつながるだろう。パウロの生涯と神学について学ぶ恰好の一冊である。

(2022年4月24日、副牧師 川嶋章弘)

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