コヘレトの言葉を読もう―「生きよ」と呼びかける書

  • 小友聡著 ◆ 日本キリスト教団出版局
教会の本棚

◆ 小友聡著
◆ 日本キリスト教団出版局

■ コヘレトの言葉は印象的な聖句が多い一方で、全体を一貫して捉えることが難しい書物といえる。かつては支離滅裂な書物と見られていたし、「空しい」という言葉が繰り返されるため、コヘレトは虚無主義者であるとも考えられていた。しかし著者は本著で新しい視点からコヘレトの言葉を読み取ることに取り組んでいる。著者によればコヘレトの言葉は明確な構造を持ち、ダニエル書に見られる黙示思想との対論という一貫性を持つ。また、人生は「空しい」から生きる意味がないのではなく、むしろ今この瞬間が神の賜物であり、最善を尽くして徹底的に今を生き抜くことが見つめられている。
 この本が扱っている範囲を超えるが、主イエス・キリストの十字架と復活によって与えられている終わりの日の復活と永遠の命の約束は、「今を生きる」ことに背を向けるのではなく、それを積極的に担うことへと私たちを導く。コヘレトの「生きよ」と呼びかける声は、まさに神が「今」、私たちに呼びかけている声にほかならないのではないか。

(2020年8月30日、伝道師 川嶋章弘)

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