死のただ中にある命―預言者エリヤとエレミヤ

  • 近藤勝彦著 ◆ 教文館
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◆ 近藤勝彦著
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■ ダビデの子ソロモンの死後、統一王国は北と南に分裂した。エリヤは、紀元前九世紀の北王国の預言者であり、エレミヤは紀元前七世紀から六世紀にかけての南王国の預言者である。エリヤは、北王国のアハブ王が異教の神バアルを礼拝した時代に、エレミヤは、南王国が滅亡へといたる時代に預言者として立てられた。両者は、時代と場所は異なるといえども、「危機の時代」に神の言葉を語り続けたのである。本書は、エリヤ伝承(列王記上第一七章から列王記下第二章まで)とエレミヤ書からの説教を収録した説教集である。「危機の中の礼拝」という説教の中で、著者はエレミヤ書第七章一~一五節のみ言葉から、「生活基盤そのものが動揺する、その中を耐え抜く信仰」を見つめている。エリヤもエレミヤも具体的な歴史的背景の中で預言した。それにも関わらず、彼らを通して語られたみ言葉は、今を生きる私たちの信仰と命を支えている。新型ウイルスによってもたらされた危機の中で、この説教集を通して改めてそのことを示された。

(2020年6月28日、伝道師 川嶋章弘)

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