復讐の詩編をどう読むか

  • E・ツェンガー著(佐久間勤訳) ◆ 日本キリスト教団出版局
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◆ E・ツェンガー著(佐久間勤訳)
◆ 日本キリスト教団出版局

■ 本書は「復讐の詩編」をどう読むかに正面から取り組んでいる。詩編の中には、私たちには受け入れがたい部分があり、敵の殲滅を願う詩人の言葉などに不快を覚えることもある。本書の第二、三章では、しばしばキリスト教会が、そのような感情を害する詩編(の部分)を無視し、修正し、あるいは切除してきたことに言及されている。それに対して著者は「難解で手に余るやっかいな」箇所であればこそ、「なによりもまずそのやっかいさをそのままに受け止め、真剣に受け止めるべき」であるとし、七つの詩編を取り上げ、その異質さに正面から取り組んでいる。著者によれば「復讐の詩編」は、私たちが自らの内に抱えている恐怖の感情や攻撃性を抑圧するのではなく、「むしろ神の前でそれを言い表し、それを神の手に委ねる」のであり、それによって私たちは自らの暴力性を克服できるのである。
なお、本書には、東京神学大学の小泉健先生による「『復讐の詩編をどう読むか』に寄せて」が収められている。一読をお勧めする。

(2022年8月28日、副牧師 川嶋章弘)

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