光の降誕祭

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■ 『クリスマスの起源』(クルマン著、教文館)

 今月の読書室はクリスマスにちなんだ本を3冊紹介する。一冊目はクルマンという著名な新約学者が記した。タイトルの通りクリスマスについての本である。私たちにとってクリスマス=25日というのは当たり前であるが、国(その国で有力な教派の教会的伝統の相違によるのだが)によっては1月6日という所もある。どちらでもいいと思われるかもしれないが、この日付の問題を真面目に論じている。内容は歴史的、神学的考察のもとに記されており、学術的にも優れた本である。
 ニ冊目は『光の降誕祭』(ランダウ著、教文館)である。この本には「20世紀クリスマス名説教集」という題がそえられている。題の通りクリスマスについての説教を集めた説教集である。この本に収められている説教者の名前は、神学書を読めば必ず出てくる名前であり、そうした人達がいかなる説教をするのか、そのことを知るだけでも興味深いところである。主イエスの降誕という世界にとって喜ばしき出来事を、いかに解きあかしているのか、一読する価値のある本である。
 ただし、注意しなければならないことは、これは訳者も指摘しているが、説教がなされた時の社会状況(第二次大戦、ドイツ統一等)が少なからず影響していることである。そのことは少し考慮に入れて読まなければならないが、少し見方を変えて読めば、主イエスの喜ばしき降誕の時を、その時々にいかに理解していたのかがわかり、興味深いところである。
 三冊目は『キリストと出会う』(遠藤周作他、日本キリスト教団出版局)である。これは20人の洗礼までの歩みを記した本である。キリストにとらえられるという事実は同じなのだが、洗礼に至るまでの歩みは種々である。教派的な背景もあり、少し驚くかもしれないが、しかし、一人一人キリストの救いに与る喜びが様々な言葉で表現されている。
 指路教会も12月の洗礼聖餐礼拝で新たに洗礼者が与えられていることと思う。新たに教会の群れに加えられる洗礼者の方々を喜びつつ、自らの洗礼の時を思い出し、そして救いに与る喜びを思い出したい。そして、世界の人々が久しく待った救い主、御子イエス・キリストの降誕の時を、心から喜びをもって迎え、そしてその喜びを未だキリストを知らない人に伝えていきたい。

(2001年12月23日、指路・第233号、伝道師 清野久貴)

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