◆ 並木浩一・荒井章三編
◆ 世界思想社
■ 旧約聖書の学び方として、一つには各書についてそれぞれに学んでいくという方法がある。これはこれで大切だが、旧約聖書は分量も多く、書物のジャンルも様々で(歴史、物語、法、預言、詩など)、多様なテーマを扱っているために、その全体像が見渡しにくい。もう一つの学び方として考えられるのは、テーマごとに学んでいくという方法である。
本書は、そのような学びにふさわしい入門書であり、一六のテーマについて解説されている。例えば「終わり・黙示・メシア」では複数の預言書とダニエル書が取り上げられ、また「神に問う人」では、アブラハム、エレミヤ、ヨブが取り上げられていて、個々の書物を越えてテーマが掘り下げられている。執筆者が、それぞれの分野に造詣が深い十二人の研究者であることも旧約聖書の学びの広さを示しているだろう。本書を通して、旧約聖書の豊かさを味わうことができるのではないだろうか。加えて、本書の最後に「旧約聖書研究史・文献紹介」があり、旧約聖書の学びに非常に有益である。
(2021年4月25日、伝道師 川嶋章弘)